運動にとって「思想」はいかに無力か

LGBTPZN Advent Calendar 2016 参加記事。

前稿では、運営批判騒動と運営批判ウェブについて説明した。LGBTPZNから話題が離れてきているが、運動を継続するために資するところがあると思い、本稿でも引き続き運営批判騒動について検討する。

本稿では、運営批判騒動にさまざまな立場から加わった人々について検討する。具体的には、ゴルスタチャレンジ、デマ画像メーカー、偽みこちゃんを取り上げる。

ゴルスタチャレンジの初出はおそらく2016年8月12日である。この時点では、みこちゃん(micoochan) のツイッターアカウントからブロックされることを目的とする遊びだったようだ。運営批判騒動以降は、中学生または高校生でないにもかかわらずゴルスタにユーザー登録して、アカウントを削除されることを競う遊びとしても知られるようになった。

デマ画像メーカーは、正しくは ゴルスタ文章メーカー! という。文章を入力すると、ゴルスタのアカウント停止通知を模した画像を生成するウェブアプリケーションである。記事執筆時点 (12月9日) でまだ稼動しているのがおもしろい。作者はも (2ab7)。前述の通り、ゴルスタチャレンジには、ツイッターでブロックされることを目的とする遊びと、ゴルスタのアカウントを停止させられることを目的とする遊びが混在していた。デマ画像メーカーは、後者の目的を、実際にアカウントを作成することなく手軽に実現できる (あたかもそのように見える画像をツイッターに流すことができる) という効果がある。

運営批判騒動によって、ツイッターで「ゴルスタチャレンジ」の結果を報告する人が急増した。デマ画像メーカーの出現はこれに拍車をかけた。最も良く知られたデマは「カセットテープを知っているとの発言をされていますが、中高生がカセットテープを知っているはずはありません。年齢詐称と見做し削除します。」(8月26日) というものである。

ゴルスタにとどめを刺したのは個人情報暴露恫喝である。ゴルスタの運営者は、あるゴルスタのユーザーが運営に批判的なツイートを行ったことに対して、実名と住所 (それぞれ一部) を出して恫喝した。しかも、これはツイッターで公然と行われたため、またたく間に批判者たちによって拡散された。

間もなく、ゴルスタのアプリはアプリストア (アップル、グーグルとも) から削除され、ツイッターアカウントも停止した。そこで現れたのが偽みこちゃんである。みこちゃん (micoochan) は、ゴルスタの運営者のツイッターアカウントで、運営批判騒動と個人情報暴露恫喝の当事者だった。偽みこちゃんはmicoooochanという紛らわしいアカウント名を取得し、アイコンとヘッダー画像は本物と同じものを使用していた。そして、かつてのみこちゃんを模倣した攻撃的な口調でゴルスタを擁護した。多くのツイッターユーザーが偽みこちゃんへの怒りをあらわにすると、公式ウェブサイトの苦情受付窓口に苦情を言うよう誘導した。偽みこちゃんは、このことを目的とした偽旗作戦であった可能性がある。

運営批判騒動に関わった者のうち、あつまれ運営批判 は思想的な裏付けを持って行動していたことを自ら主張している。例えば、女性器に擬態している植物 (vaginaplant) の以下のツイート。(RTといいねは12月9日調べ。)

運営批判一件、民主主義を信奉する老人が、全体主義に順応した児童を棒で叩く展開になっている。前者にとっては最初で最後のチャンスなので、このまま巨大な運動につなげていきたい。(8月26日、0 RT、3いいね)

また、運営批判騒動の初期に示された、以下の見解も参照すべきだろう。これは、ぼえぼえ (Unused_Johnny) によるものである。

インターネットでまで大人に反省のポーズを強要されて素直に従ってんじゃねーよ。そのままじゃお前らは一生悪い年上のエゴの奴隷だぞ。(8月25日、207 RT、818いいね)

残念ながら、児童を管理教育から解放するという目的は、達せられたとは言いがたい。ゴルスタは閉鎖されたものの、株式会社スプリックス が運営する他のサービス (たとえば森塾) は、無傷で存続している。

運営批判騒動においては、思想的な裏付けを持って行動した者の影響力はわずかであった。むしろ、ゴルスタチャレンジとデマ画像メーカーという、暴徒化した民衆の方が、ゴルスタを閉鎖に追い込んだ功績は大きかったかもしれない。

最後に、9月10日に書かれた 東洋経済オンラインの記事 を紹介する。この分析はきわめて詳細であり、一連の経緯をほとんどすべて知ることができる。プロのライターが優れた歴史書を書いたことで、運営批判騒動は、9月10日には「歴史」になってしまったとも言える。

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投稿者: Hakaba Hitoyo

墓場一夜